「女子特有の〝少しばかり可愛いからって調子に乗らないでよね!〟心が生まれたのよ、花鈴さんのクラスメイトの心に。」

「…は?」

意味不明と言い出しそうな顔をする冬山に私は、急いで言葉をつなぐ。

「鈍っ、鈍すぎるわね、冬山!女子っていうのはね、自分より上の人に嫉妬したり、僻んだりしちゃうの!」

「あんたもか?」

冬山の真剣な瞳に気づいて、私は、うろたえた。

その瞳は私に、ずっと昔のことを思い出させた。

確かに私にも醜い心があったのだ、と今更のように思う。

フッと冬山から視線を逸らし、小さく答える。

「そうだね、私にもあったかもね…」

「そうは、見えねぇけどな。」

冬山は、決まり悪そうな顔で、ガシガシと後頭部に手をやった。

少し悲しげな冬山に、何故か焦りを感じた私は、軽口をたたいて、誤魔化した。

「冬山くんが愛する神崎さんには、ないかもね?」

「ウザい、お前。」