少女は紫陽花色の雫を拾う

私は、沸々と湧き出す怒りを抑え込み、口角を無理やり押し上げる。

「あははは……冬山くんの憧れの君、神崎さんには、そんな事言っちゃダメだぞ♡」

「だから、俺は神崎小夜のことなんて…」

冬山の表情に狼狽が伺えた。

その表情に満足した私は、そっと話を戻す。

「〝いじめ〟が自殺の原因だという可能性は?」

「花鈴は、別にいじめの対象になるような暗いやつじゃなかったぞ。」

冬山は、即座に反論する。

甘いな、と私は、心中で冬山に馬鹿にするような笑みを浮かべた。

そして、何食わぬ顔で確認する。

「でも美人だったんでしょ?」

「だから?」