バウンス・ベイビー!


 ようやく今日の分が終わったのは、もう午後の6時半過ぎだった。正社員である私達は7時までの勤務時間だけど、普段はパートさん3人とバイトの平野の勤務は6時までなのだ。だけど今日はどうにも終わらずに、休みの北浦さん以外の3人には残業して貰ったのだった。

「あー・・・終わったな。皆お疲れ様でした。残業ありがとうございます。ちゃんと記録をタイムカードに書いてくださいね。忘れても俺責任持ちませんよ~」

 リーダーがぐったりした口調でそういって、前園さんと浜口さん、それと平野ははーいと返事をする。

「お前らも、今日はもう片付けたら早めでも上がっていいぞ。7時過ぎたらタイムカードは俺がおしとくから。お疲れさん」

 私と田内さんにもそう声をかけてくれて、リーダーは帽子をぬいでエプロンを外す。私は有難さに頭を垂れながら、心の中で感謝した。

 リーダー、ありがとうございます!では早速帰らせていただきます!

 12月に入る直前だった。

 パートさん達が話していたように確かに温かい冬の入口で、まだマフラーなどは必要がないほど。皆で片付けをしっかりとして、事務所で座るリーダーに挨拶をする。何となく同じ時間の退社となって、作業場を出たところで皆で挨拶をして別れた。

「じゃあね~、気をつけて」

「お疲れ様でした~」

「お疲れ様~」

 田内さんが会釈して自転車に跨って町の方へと消え、パートさん二人が手を振ってスーパー目掛けて歩いていく。私は平野なんて目に入りません、って全身で表現しつつ、一人でサクサクと駅に向かって歩き始めた。