バウンス・ベイビー!



 うきゃー!って。あれ、読んじゃったの浜口さーん!!って。もう恥かしくて、どう褒めてくれても照れまくってお礼をいう羽目になる。顔が見れない、顔が。一体どんな表情で作業場に行けばいいのって悩む日が、これでまたくるわけだ。

 でも仕方ない!だって恋愛小説なのだ。最後、手に手をとって頬へのキスで終わる、という作風でもないし、これがなくては人間という生き物の、しかも成人であるとはちょっと言えないだろう!って内容になってしまう。隼人も美春もいい大人なのだ。現代の日本が設定のこと、気持ちが伝わりあった今、別に何ら遠慮する必要はないわけで。

 と、いうわけで今晩は、脳みそも大興奮状態で私は一人、キーボードを連打しているのだ。

 だけど・・・だけどそうかー!!平野も読むかもしれないんだったあああー!!

「・・・すっごい、嫌・・・」

 数秒間、手が止まってしまった。

 だけど私は過剰なくらいに頭をブンブン振って、考えたくない現実を放り投げた。そんなこと考えても仕方ないのよ!だって今更作品を捨てるわけにはいかないもの!それも平野一人のためにこれまでの文を台無しにするなんて、絶対、確実に、間違いなく、あってはならないんだから!

「よし、次だ次!」

 深呼吸をしてから、私はパソコン画面に向き直る。

 アダルトなシーンは詳しい描写が苦手だけど、どう書けばいいかを調べるために成人小説と呼ばれるものも読んでみたりした。その時ほど一人暮らしでよかった!と思ったことはない。あまりに恥かしくて一人で悶絶し、数ページごとに休憩が必要だったのだ。そりゃあ私だって成人した男女の間でどんなことが行われているのかは勿論知っているけれど、自分での体験がないからどうしてもそこが弱くなってしまう。