「きっと千明ちゃんがそんなに腹をたてるって思わなかったのよ。アドバイスのつもりだったんじゃないの?そうだわ、こう唱えなさい、腹がたったらね、これはアドバイスだって」
「・・・アドバイス」
「そうよ、アドバイス。千明ちゃんの作品をよりよくしようとする一読者からのアドバイスだって思うの」
うん、ちょっと・・・それ、やってみようかな。私は新しいせせりに手を伸ばしながら考えた。平野からだって思うから、腹が立つのかも。これが感想ノートなり、メールなりで送られるコメントの一部であったなら、それほど腹は立てなかったはずだ。まあどう考えてもやつの言い方は失礼だったけれど、それでも文章できたなら受け取り方は違ったかも・・・かも?
「浜口さん、それ、やってみます」
私はどうにか微笑んでみせる。平野に作品のことで何か言われた時には、キレないでこう唱えよう。
アドバイスアドバイスアドバイス。これを3回セット、3ターン。よし。
「昨日は千明ちゃんお休みだったでしょ、だから更新あるかなって思って今朝覗いてみたのよ」
浜口さんがそう言って、私は、ああ、と情けない声を出した。
「朝は見直しや加筆訂正したんですけれど、夜に新しいページは書けなかったんですよ。平野にムカつきすぎて、どうにもこうにも。眠れないくらいでしたから作品の世界へいけませんでした」
浜口さんは、慰めるように優しい笑顔をくれた。



