「次は俺が頑張る番って思ったってこと」

 そう言って平野は立ち上がる。トレーを片付けて戻り、私に手を差し出した。

「帰ろうぜ、俺の部屋でも藤の部屋でもいい」

 私は顔が熱くなったのが判った。

 だけど頷いて、彼の手を取る。

 手を繋いだままで電車に乗り、私の部屋へ一緒に帰った。

 ドアをしめるとすぐに平野に抱きしめられて震える。後頭部に手をまわされて引き寄せられ、私は平野の口付けを受ける。

 これがしたくて我慢してたんだ、耳元でそう囁かれて、私は鞄を手から離す。

 体と同じ温度で熱くなった心の中で、こっそりと思う。


 うん、平野。私もずっと、君とこうしたかったんだよ――――――――――――