バウンス・ベイビー!



 平野の手がのびてきて、私の頭をぽんぽんと軽く叩いた。

「ごめん。車取に行ってたから、ちょっと遅れた」

 へ?

 私は目だけをハンドタオルから出して彼を見る。・・・車?

「え?」

 怪訝な声になっていただろう。平野はふ、と笑うと、行くぞ、と私の手を掴む。

「え?ええ?ちょちょちょっと、どこに――――――」

 ぐいぐいと引っ張られて歩かされて、私は絡まる舌で言う。だけど平野はいいからと言うだけで、教えてくれない。一緒にちょっと歩いたところの駐車場まで歩いていくと、そこには白い軽自動車がとめてある。乗っててという平野に、私は驚いて聞いた。

「え、これって君の車!?」

 つか車の免許もってたんだ!?まずそこに驚いた。平野と車の話などしたことがないから、勝手に免許はないんだろうって思っていた。

「や、それはレンタカー。普段乗らないから自分のはもってねえよ」

「め、免許持ってたんだね」

「そこ驚く?俺も25歳なんだけどね」

 平野は駐車料金を支払いながら苦笑して、早く乗ってと戻ってくる。

「あ、はい」

 混乱していたけれどとにかく助手席に乗る。車内はすっきりしていて空気も冷たく、寒さにぶるっと震えた。

「温まるまで我慢して」

 うん、と答えた。平野はステアリングをきり、小さな車を発車させる。私はベルトをしめてから、そろっと隣を見た。車の窓を通して外灯に照らされている平野の横顔を。つんと尖った鼻、まっすぐ前を見る目を。邪魔そうに時折頭を振って前髪を退けている。