バウンス・ベイビー!



 そうだった、繁忙期も終わりなんだ!

「やった」

「今回も乗り切ったね」

 田内さんとそう言いながら外へ出て、自転車に乗る彼と別れる。1月最後の夜空は澄んでいて、オリオン座が遠くに見えた。私はスマホを取り出しながら歩く。

 メール・・・なし。電話・・・なし。

「・・・ああ」

 やっぱり私、平野に捨てられたのかも・・・。だけどもしかして、いつもの場所で待ってくれてるかもしれない。あ、そうかも!私は急にその可能性に思いつき、急いで足を動かす。

 人気のない静かな住宅地を駆け抜ける。公園へ。駅前の、あの公園へ。あのベンチで平野が待ってくれてるかも―――――――――

 その時、いつもの公園が目に飛び込んできた。

 息をつきながら顔を上げて目をこらす。だけどいつもそこで待ってくれていた平野の姿は、ベンチのところにはなかった。どこにもない。誰もいない夜の公園。外灯だけがピカピカと光って、吹き渡る冬の風で揺れている。

「・・・」

 いない。

 ―――――平野は、いない。

 はあ、と吐いたため息は暗い空へと上がっていった。急に走ったせいで上がった呼吸が苦しい。無意識に胸を押さえていた。