高峰リーダーが、藤、と呼んだ。
「はい?」
顔を上げてみると、机についてじっとこちらを見ているリーダーと目があう。今気がついたけど、リーダーは髪を切ったみたいだった。先日より短くなった色の薄い黒髪が、エアコンの風にサラサラと揺れる。・・・うーん、やっぱり美形だなあ、この人。
「大丈夫か?」
「え」
「大丈夫なのか?さっきから凹んでるように見えるぞ」
あー・・・。私は一瞬どう答えるかで悩んだ。だって大丈夫ではないわけで。だけどそれを今、高峰リーダーに言ってしまうとまた違う意味で大変なことになるかも――――――――
「はい・・・大丈夫ですよ」
私はそう言って、笑顔を作った。
「無理やりって顔だな」
「そんなことないです。仕事終わりで疲れてるだけですよー。気が抜けたというか、です」
リーダーはメガネの奥でちょっと目を細めたけれど、そうか、といって書類へ目を落とす。私も何とか日誌を書き終え、さっきとってきた在庫のリストを棚へと仕舞って、違うことをしていた田内さんと一緒に作業場の最終確認を済ませた。
ちょうど7時になったので、タイムカードを押してリーダーへ挨拶する。
「じゃあお疲れ様です~」
「お先ですー」
「おう、繁忙期も終わりだな、二人とも、お疲れさん」
リーダーが伸びをしながらそう言う。



