バウンス・ベイビー!



 その作業を終えて戻ってみると、そこには平野の姿はなかった。

「え、あれ?リーダー、平野は?」

 私がそう聞くと、机に向かって書類と睨めっこしていたリーダーが、あ?と顔を上げた。

「平野って、もう帰ったぞ。浜口さんも上がったし、同じときに。お前さっきいなかったっけ?」

「え、帰りました?」

「おう。だってもう用ないしなあ」

 ・・・まあ確かに用はないけど。私は苦笑して、そうですか、と言う。

 仕事が終わったらご飯に誘うつもりだった。緊張するけど、ご飯は食べなきゃならなし、それなら話も出来るかと思って。

 だけど・・・残念、帰られちゃったのか・・・。

 結局話も出来ず、目もあわせないままで。

 ふう、とため息を吐く。

 もしかしたら、このまま二人は終わりなのかもしれない。

 メールも電話もない。今日も喋らなかった。そして、知らないうちに帰ってしまっていた。あの夜のことで、平野は私に愛想をつかしたのかもしれない。お互いに一人でゆっくりと考える時間はたくさんあったのだ。平野の出した結論はそうだったのかも。ここを辞めたら私と顔を合わせることもなくなるわけだし、自然消滅だって狙おうと思えば狙える状態。・・・あーあ。

 がっくりきたけれど、とにかく仕事を終わらせよう、そう思って日誌を開く。私の仕事は7時までなのだから。だけどともすれば平野のことへ考えてが飛んでしまって、中々進まない。