バウンス・ベイビー!



 昼のあともひたすら仕込み作業。もう平野も仕込みは問題がなかったから、着々と作業はすすみ、問題もなく本日の業務は終わりの時間となる。

「よーし、もう終わりだな。皆お疲れ様でした~」

 リーダーがそう言って、全員がやれやれと肩や首をまわす。パートさんとバイトさんが終わる午後6時、社員組の仕事も終わっていて、作業場にはほっとした空気が流れた。それぞれの道具を洗って消毒し、着替える。

「平野ー」

 彼が着替え終わったときに、そう言ってリーダーが平野を呼んだ。

「はい」

 事務所の中で、いつもバイトには最初と最後しかみせない笑顔で、リーダーが平野に挨拶をする。

「仕事の覚えも早くてとても助かった。厳しい労働環境だっただろうけど、頑張ってくれて感謝してる」

 心底からの言葉だろう。平野が来る前のインテリ学生のことを思えば。私だけでなく、田内さんも浜口さんもそう思ったらしい。皆無言で他のことをしながら頷いている。

「ありがとうございました。お陰さまでいい社会経験になりました」

 平野もそう言って頭を下げた。ちらっと見たけれど笑顔はなかった。でもこの人はここではいつでもポーカーフェイスだったしな。最後の給料が出るのは~ってリーダーが説明している。それを背中に聞きながら、私はエプロンを片付けて帽子を仕舞い、業務日記をつけるべく倉庫へとむかった。串やトレーのストックの在庫を調べなければならない。