喧嘩をしてしまった。

 眠れなくて、暗い中、私は毛布の隙間から天井をじっと見上げている。

 ・・・いや、違うのか。あれは喧嘩じゃないのかも。私が一方的に怒っただけで、平野は落ち着いて話していたようだったし。

 結局泣いてしまった自分が憎らしかった。泣いたってどうしようもないのに。馬鹿じゃないの私って。初めて彼氏が出来て、その人の過去のことでイライラしたりして。

 あと2日で1月は終わってしまうのだ。

 平野は卒論も無事に終わって、あとは卒業式だけだって言っていた。だから2月になって平野がバイトを辞めたら、私が休みの日には一緒に遊びにいけるって楽しく計画を立てたりしていたのに。

 スケートとか行ってみる?映画は寝るからやめよう、って。そんなことを。平野の入社前の会社研修が始まるまでは、そうやってデートしようって、話していたのに。

「・・・・・も~う・・・私の馬鹿馬鹿馬鹿・・・」

 私が好きだったらしい平野が私の告白を断ったわけ。それって多分、今平野が大学生である理由にも繋がっているのかもしれない。

 言いたくない、そういったのだ。

 それにあの表情。

 あの厳しくて苦しそうな表情は、それだけの苦しみを平野に与えるような出来事ってことなのだ。

 どうしてあの時それを考えなかったのだろう。私は自分のことばかりで、彼に当たってしまった。

 折角再会して、折角恋人になっているのに。