「出勤してきた私が疲れてるように見えたんだって。それで、それは平野のせいか、って・・・」
あ。
言いながら私は固まった。公園の外灯に照らされた平野の顔は、不機嫌そうに歪められている。うーん、もしかして。
「えーっと・・・何か、リーダーに言われたの?私それは違うって言ったんだけど」
まさかでしょ?そう聞く私に、その場に突っ立ったままで平野は頷いた。
「脅された」
「え」
「そんで、藤のことは気に入っている、お前、藤を泣かしたなら承知しないから、って、睨まれて凄まれた」
「ええっ!?」
「どういうことだ?」
私は口をあけっぱなしにしたままで、しばらく固まっていた。リーダーったら、リーダーったら!!いつのまにそんな会話をしていたんだろう。今日はいつもの通りに見えたけど!?パートさん達のお喋り、私は小説の妄想、男共は黙々と作業っていう、いつもの一日に。
だけどリーダーは、平野にそんなことを言っていたらしい。
目の前に立つ平野は不機嫌な顔で、口をひきむすんで私を見下ろしている。・・・怒ってるよね、これ。
「えー・・・と。ちゃんと言ったんだけど、平野のせいじゃないですって・・・」
彼はぱっと手を振った。
「そういうこと聞いてるんじゃない。リーダーはやっぱり藤を好きらしい」
「あ、うん。知ってる」
「あ?」
その言い方にはまたびびった。私はちょっと恐怖心を抱きながら、一歩うしろへ下がる。



