バウンス・ベイビー!



「・・・研ぎ石、見付かった。前園さんが置き場所間違えてただけだった」

「あ、そうなんですね。それは良かった」

「今日手羽先追加きてるから。田内にはずりを頼んでるから、藤が手羽先頼む」

「はーい」

 じゃあ包丁を研ぎに、と私は洗い場へいく。ちょっと心臓はドキドキしていた。高峰リーダーってば鋭い。だけど、別に平野と私に何かがあったわけではないのだ。だから大丈夫、大丈夫――――――・・・。

 だけど、大丈夫じゃなかったらしい。

 その日の帰り、夜の7時過ぎ。いつものように公園で私を待っていたらしい平野が、私が近づくと笑顔がなしの真顔で言ったのだ。お疲れ様、の挨拶もなしで。

「高峰リーダーに、何言ったんだ?」

 って。

 私はきょとんとした、と思う。その時には朝にした会話などすっかり忘れてしまっていて、頭の中は本日さばいて串刺しにした鳥肉の各パートばかりだったのだから。ハートとかせせりとかずりとか肝とか。あ、追加された手羽先も。

「え?リーダー?」

「そう。藤、朝何か話してただろ、二人で」

 うん?私は首を捻って考えた。

「あ、来月のシフトのこと?だって昼食までに希望だせってリーダーが・・・」

「違う。俺が出勤してきたときの話」

 ぴしゃっと遮られてちょっとビビる。平野、何か結構機嫌が悪そうなんだけど・・・。平野の出勤?リーダーと話って――――――ああ!思い出した私はパンと手を叩いた。