バウンス・ベイビー!



「疲れてますけど、そうじゃないんですよ。そうだ聞いて下さいリーダー!今日は最悪なんですよ、朝から信号に連続でひっかかって」

 高峰リーダーの肩から力が抜けたのが判った。

「何だ信号かよ。心配して損した」

「損ってなんですかー!結構じわじわ来るでしょ、信号に全部ひっかかるとか!今日はついてないかもって―――――」

 声を上げていると、平野が作業場からのドアを開けた。一瞬びたっとリーダーも私も止まる。

 間が空いた。

「おはようございます」

 だけど平野がそう言って、リーダーも、おう、と返す。私はエプロンの装着を再開しながら、おはよーと言った。

 平野は淡々とタイムカードを押しにいき、奥であったらしい田内さんと挨拶をする声が聞こえている。私はそれを背中で聞きながら、黙って髪をまとめ帽子の中に突っ込む。

「・・・うーん」

 机に片肘をつきながら、まだ私服のリーダーがこちらをじいい~っと見ている。そしてぼそっと呟いた。

「何かあったな、お前ら」

「いえいえいえいえ、何もないですよ!リーダー勘ぐりすぎです!」

 私は断ち切るようにはっきりそういうと、さて、と両手を叩いた。

「リーダーも着替えて下さいよ。いつまで私服なんですか!ほらほら。あ、そうだ包丁の研ぎ石、一つなくなってたの発見しました?」

 早口にそう言うと、やっぱりじいーっと私を見ていたリーダーは、ため息をついて立ち上がった。