『ならよかったわ。結局紹介したのは意味なかったけど、とにかく、あんたが幸せならね』

「ありがとね、仁美。相沢さんは友達になったのよ、それはそれで素敵」

 そこは千明らしいね、って言って、彼女は違う話題を話し始めた。

 私は電話で女友達と楽しい時間を過ごす。こうやって誰かと話せることはかなり気持ちがいいことだって気がついた。梓のことや、あの店のこと。それから、仁美がタカシさんと結婚を考えていることなども。

 興奮して喋り捲る。仁美の壮大でゴージャスなウェディングプランを聞きながら、私は片っ端から突っ込んでは彼女に嫌がられていた。

『とにかく、また飲みにいきましょ!詳しく聞く必要があるわ!』

「じゃあまたね~」

 電話を切って、一息ついた。話しすぎて顎が痛いなんて笑える。

 私は温かい気持ちになって壁にもたれたままで、平野のことを考える。ちょっとした秘密?そんなの全然問題じゃない。だって―――――――――

 だって今の私は、彼と一緒に過ごせるんだもの。