高峰リーダーはメガネの奥で瞳を見開いて、おやあ~?と静かに言う。

「・・・その反応は、キスマーク、なんだな。覚えがあるってことか」

「い――――――いえいえいえいえっ!違います、これは火傷です!ちょっとへまして―――――」

「火傷のあととは違げーよ。俺を馬鹿にすんなっつーの」

 大体そんな場所火傷するかよ、そう言いながら腕を組んだ高峰リーダーは、ふん、と鼻で笑う。

「お前、男が出来たのか?」

「はっ・・・!?え、ええと・・・」

 私はまるで蛇に睨まれたカエルだ。きっとこんな気持ちだったに違いない、可哀想なカエルさん達。ああ~。

「出来たんだな、男が。否定しないってことは」

「え、えええ・・・あ~・・・」

 手にもったマフラーをこねくりまわして消えたいと願っていたら、更に機嫌が悪化したような低い声で、リーダーが言った。

「・・・お前、風邪引いて休んだよな、大晦日。それで家で男といちゃついてたってわけ?」

 それは違います!そこだけは否定できるから、私はキッと顔を上げて唾を飛ばす。

「本当に熱でした!ちゃんと医者から貰った薬飲んで寝てたんです!熱だって高くて38度もあって、ご飯も食べられなくて―――――」

「で?」

「で―――――――、平野がお見舞いに来てくれて・・・」

 ほお、そう聞こえた。間違いなく目の前に立つ高峰リーダーから発せられたものだと思うけど、私はその声は天から降って来たかのように聞こえた。