何と、高峰リーダーには、一発でバレた。

 1月2日の出勤日、私がいつもよりかなり早く出勤したのは、大晦日の掃除を休ませて貰ったことによる罪悪感からだ。掃除のあといつもよりしっかり仕舞ってある道具達を、他の人達が来る前に出しておこうと思ったのだった。

「おう、藤、おめでとさん」

 ドアを開けたらまだ私服のリーダーが既にいてビックリしたけれど、私はそこで慌てて頭を下げた。

「おはようございます!それに、あけましておめでとうございます、高峰リーダー。もうきてたんですか?」

「おう。お前もえらく早いな。風邪は治ったのか?」

 リーダーはメガネを外して拭いている。きりっと上がったその瞳はやっぱりシャープで綺麗な形をしていて、前髪を自然に分けたリーダーはどこから見てもいい男だった。私はつい凝視してしまう。何だよこの人、やっぱり美形じゃない~。エプロンと帽子とメガネ、三大悪よね、このイケメンをあれだけ残念な外見に・・・。

「お陰さまで何とか熱も下がりました。昨日にはマシになっていて・・・」

 言いかけたところで、メガネをかけ直して私を見たリーダーに遮られた。おい、藤、って。

「はい?」

 きょとんとして顔を上げた私をじいっと見て、高峰リーダーは自分の首筋を指で指して言う。

「――――――それ、キスマーク?それとも怪我?」

 はっ!!

 私は仰天して手で首筋をぱしっと押さえる。駅から作業場にくるまでの間に髪の毛を頭の上に結い上げていたので、いつも着ているタートルネックを着ておらず、しかもマフラーを外した今はデコルテラインが見えているはずだってことに気がついたのだ。