「ねえ、そういえばどうして平野はまだ大学生なの?」
急に不思議に思って、私は彼を見上げた。浪人はしていないはずだ。だって大学に合格したのを知ってから、告白したのだもの。私はそれを思い出しながら聞く。卒業が3年も違う訳を。
「単位落として卒業できなかったとか、就職のタイミングみてたらこうなったとか?」
新卒で入社することにこだわるあまりに、大学の卒業をわざと遅らせる学生もいるのだ。それかと思って聞いたけれど、平野は首を横にふる。
「浪人も留年もしてないんだけど・・・。それはまた今度、説明する」
「うん?いや、別にいいんだけどさ・・・」
言い方にぴりっとした緊張感を感じたのだ。もしかして、言いたくないことなのかも。私はそう思って口をつぐんだ。誰にだって知られたくないことの一つや二つはあるだろうし。
それからは私の部屋に戻り、ごろごろしながらテレビを観て過ごした。大晦日から今日にかけてあったことは消化出来てはいなかったけれど、少なくとも、平野が私の部屋にいることは、なんとなく慣れてきた。
それから、彼がしてくるキスも。
部屋にいる間、彼はふいをついていきなり顔を近づけるから、その度に私は仰天してオーバーリアクションだ。なんせ私は男性そのものに慣れていない。平野はジタバタする私を見て悪そうににやりと笑ったり、時にはお腹を抱えてげらげらと笑っていた。
・・・ムカつくぜ。私は遊ばれている悔しさを胸の中に溜め、ふざけて押し倒された時には、力いっぱいにぎゃあぎゃあと叫んだ挙句にヤツのお腹をこちょばしてやった。



