バウンス・ベイビー!



「あの作業場で再会して、藤の知らなかった一面も見て、働く姿や他の人と話している笑い声も気になって仕方なくなった。見ないようにしようとしたけどそれも難しくて。それに―――――――」

「うん、もういいから」

 パッと手を振って、恥かしくなった私は平野の言葉を止める。

「平野が言うことを信じてないわけじゃないの。ただ私が・・・まだ、混乱してるだけ。誰かと一緒にいることとか、そういうのが。だけど・・・だけど、嬉しい、と思ってる」

 多分、と心の中でつけたしたけれど。だって今はまだ混乱の中にいて、色んなところに気持ちが飛びまくっている状態なのだから。オレンジ色した私の心がボールへと変化して、透明なガラスで囲まれた部屋の中をとびまくっている感じ。どこを向いているのかも判らず、ただ興奮したり混乱したりして、壁にぶつかっては弾んでいるように。

 だけど今、皆がいう6年の時間って意味が、やっと判った気がした。

 確かに、平野は平野であって同じではなく、私も私だけど同じ私ではないのだ。お互いに知らないところでたくさんの違う経験をして、大人になって今ここにいる。

 手を繋いで向き合って。

 平野は私をじっと見て、うん、と頷く。

「慣れるのを待つよ。俺は2月までしかあそこにいられないし、言ってみれば特殊な職場だよな。俺が職場を離れたら藤も大丈夫になるかも」

 あ、そうか。今月と来月の頭で、平野は期間バイトが終わるんだ、私はようやくそれを思い出した。いつまでも路地で突っ立っているわけにもいかないので、彼を促して歩き出す。