「藤が好きだし、これからもイチャイチャしたいって思うよ。何なら今この体勢からでも」
「・・・え、ええーっ!?」
何だってー!っつか、なんてことを言うんだ、それもサラッと!!私のガチガチに固まった手の中で、フライパンが震えている。
平野が首筋に吸い付いた。ちゅっと音を立てて唇を這わせ、私は電気が走ったみたいに体を震わせる。
「うひゃっ!?」
「・・・餅もだけど、藤もいい匂いがする。何かいう事信じてない感じだけど・・・でも俺ずっとアプローチはしてただろ?」
アプローチ!?アプローチって避ける私にわざわざ近づいては話しかける、あの迷惑行為のことかっ!?
更に吸い付こうとしてくるから、私は首を斜めに倒して必死で平野の唇から逃げる。危ない危ない!色々と危ない!
「うひゃああ~!ちょちょ、ちょっと平野!あ、アプローチって・・・」
「んー色々。話しかけたり、待ち伏せしたり。そんなこと、どうでもいい相手にするかよ。それに藤に彼氏が出来たって聞いた時、俺が不機嫌になったの覚えてないか?」
「・・・そうだっけ?」
「そうなんだよ」
だけど作業場での平野はいつでも無口で不機嫌そうだけど!?そんなの判るわけないでしょ~!?
焦げる匂いが鼻をつく。だけど絶賛大混乱中の私(意識的には抱きしめられているというより羽交い絞めにされている感じ。もしくは電車の中の痴漢とか!)は、お餅に気を配っている余裕など全然ない。



