私は自分の肩から力が抜けたのを感じた。この柔らかい雰囲気と飄々とした態度。確かに、私は彼のこんなところが好きだった、そう思い出して。周囲を明るく、気楽にさせてくれるところが、この人は昔からあったのだった、って。
「うん。・・・ありがと」
頷いて、私も笑う。
それからは晩ご飯の用意を始めて、私の狭い部屋の中は、初めての興奮に包まれていた。誰かとこの部屋でご飯を食べるのは初めてだった。それに大晦日で外は雪が降っていて、テレビは年末の特番を流している。その非日常感も手伝って、一人ではまっていた混乱はどこかへと姿を消してしまっていた。
緊張はしなかった。私は軽口も叩きながら、平野と話をする。
ビールも飲む?って盛り上がり、病明けだというのにアルコールで乾杯して、買ってきてくれたご馳走を二人で食べる。
部屋は暖かく、今朝までは一人で寝込んでいてかなりの孤独の中にいたことなど忘れてしまっていた。あんなに寂しかった暗闇は今は遠く、私は機嫌よく笑う。テレビの番組にそれぞれが突っ込んで、同じ年で共通する価値観に盛り上がったりもした。
「あと2分だな、今年も」
平野がそう言ってゴロンと寝転がる。私は台所で洗いものを終わらせて、時計に目をやった。
本当だ。あと・・・1分で今年が終わる。何と言うか、最後がえらく波乱万丈の一年だったなあ~・・・。ちょっと酔っ払っているらしい。いつもよりアルコールの量は少ないのに、と考えて、だから病明けだってば、と自分で突っ込んだ。
平野がバイトできて、私は一人で慌てて・・・。それなのに、その本人が今はこの部屋で寛いでるよ。一体なぜこうなった?



