「熱が下がってたから・・・気持ち悪くてシャワーを浴びたの。こんなに何を買ってきたの?」
「あ、正月の用意」
こけそうになった。・・・本気だったのか、ここで年を越すというのは!私は恐る恐る質問をする。
「えーっと・・・平野のご家族は大丈夫なの?ここに泊まったりして?」
だってまだ大学生なんだよね?私のその質問に、平野は簡単に大丈夫、と答えて顔も上げなかった。高校は同じだったけれど、私の家は大学生の時に引越しをしているからここから近いけれど、平野の実家はそうではないはずだ。いいのか、本当に。
「だって正月は?明日は仕事休みなのに、帰省しないの?」
「藤は?」
重ねて聞く私に質問で返してきた。私は仕方ないからため息をついて答える。
「私は熱出してたし、今年は帰るのやめるって言ってあるのよ。ご両親怒らないの?」
「怒らない。もういいか?ほら、こんなのも用意したんだぜ」
袋の中から平野が取り出したものを見て、私の正直なお腹が反応した。
「お餅だ。それに、これはもしかして!」
さっき食べたグラタンでは勿論足りてはいない。平野も上機嫌の声でそうそう、と言いながらしゃがむ。
「肉!それに一人用の鍋がセットで二つだろ。デザートもスナックあるぞ」
「おお~!」
つい喜んでしまって、ハッとして平野を見た。平野は私の顔を見ていたらしい。下ろしている前髪の向こうから目を細めて、にっこりと笑った。
「いい正月にしようぜ。折角だし」



