バウンス・ベイビー!



 ここで年越してもいい?そう平野が聞いた時は、私は掠れる声で唸っただけだった。だけどそれを了解だと取ったらしい平野は、ちょっと冷蔵庫見るぞーと言って私の台所でごそごそと色んな調査をし、ほとんど全てのものがない、と思ったようだった。

 トントンと私のもぐりこんでいる布団を指で叩いて、藤、と声をかける。

「ビールはあるけど他にはびっくりするくらい何もない冷蔵庫だから、俺また買出し行ってくる。一回自分の部屋にも戻るかも。でも年越しが一人だとどうにも侘しいから、一緒にいようぜ。お前、また熱出すと困るし」

「・・・」

「つーわけで、とりあえず出てくるから玄関鍵しめとけよー。それか・・・」

 辺りを見回したらしく、あった、と嬉しそうな声がした。

「ボードの上のこれ、部屋の鍵だよな?借りてくぞ。鍵しめていってこれで入るから」

「・・・」

「ちゃんと寝とけよー」

 そう言って、平野はアッサリと出て行った。

 ・・・鍵まで持っていかれてしまった・・・。ああ、どうしよう。

 まだ鼓動は収まらない。だけど、これはもう夢ではないのだから、懸命に対処する必要がある。必要があるのよ、千明!しっかりしなさい~!!

 そろそろと毛布から頭を出すと、そこは私の頭の中と同じく混乱した部屋の中。狭い部屋に、さっきキスされる前に暴れてぶつかったテーブル。それからコップが二つ。床の上には脱ぎ散らかした私のコートや、昨日着ていた服。鞄もそのまま放り出してある。位置のずれたストーブ、洗い物の溜まっている台所。・・・・あああああ~。

「なんかもう、全部嫌なんですけど・・・」