準備が出来たところで鏡に全身をうつして写真を撮る。それを仁美へと送信した。「これで行く」って文章もつけて。もうダメ出ししてる時間はないはず、そう思いながら家を出て駅に向かったら、電車の中でメールが来たのに気が付いた。

『OK』

 それだけのシンプルな返信。よかった、どうやらテストには合格したらしい。

「千明~!おはよ~!」

 集合場所の駅前で、仁美たちはすぐに判った。普通にそこに立っているだけでも人目を引く3人組で、私は手を振って近づきながら、あれに本当に合流するのか、とちょっとばかり心配になる。

 本日もバッチリの仁美。遊園地という場所柄いつもよりカジュアルな格好をしてはいるけれど、隙がない。そして彼女の同棲相手のタカシさん。2つ上だと聞いているから今年で27歳のはずだ。一度会ったことがあるけれど、一重に鼻筋の通った和風の顔の男性で、学生時代にアメリカンフットボールをしていただけある良い体格をしている。大きな口は笑えばとても愛嬌のある表情を作る。仁美をとても大事にしていて、そのことは二人を見ているだけですぐに判るほどだ。

 それから――――――。私はタカシさんの隣にいる男性へと目をむけた。

 すらっとした細身の男性だ。黒い髪は短く、背は高め、パッと見の雰囲気はとても優しそうな人だった。太陽が眩しそうに細めている目は二重で、タカシさんが和風ならこの人は洋風だな、と私は心の中で思った。

「相沢さん、この子が千明です」

 仁美が彼、相沢さんに笑いかけて、私の腕を引っ張る。私は急いで頭を下げた。

「藤です。おはようございます」

「相沢です」