「――――――で、何でなの?」
仁美は3杯目のサイドカーをカウンターに慎重においた上で、私に向き直って聞いた。
「何でご飯一緒に出来ないのよ?」
私は返事をしないままで仁美を見る。何でって・・・そりゃ、そりゃあ―――――――
12月24日、本日はクリスマスイブ。キリスト教では聖誕祭としてお祝いモードである日で、世界中のお祭りは何でも真似しちゃおうという精神が息づいているここ日本でも、今日は恋人達や家族でお祝いする夜とされている。
そこに彼が出張でいない仁美と、元から仕事上がりの予定が何もなかった私、付き合うか悩んでいる男の子とのデートよりこちらの方が面白いに決まっている、と予定を返上してきた梓の3人で、「とりあえず」と言いながら入ったバーのカウンターでの言葉だった。
イベント好きを豪語する仁美はガールズナイトの今夜もバッチリとおめかしをしてきていて、煌びやかかつゴージャスだった。金色のラメのついたブラックワンピースにシックなトレンチコートを羽織り、ブランドもののストールを大雑把に肩へかけている。ボリュームのあるふわふわの長い髪は背中に垂らしていて、バーのライトにあたってはキラキラと煌く。通り過ぎる男性が間違いなく全員、一度は彼女の全身を褒め称えるように見ていくのが面白かった。
その隣に、仕事帰りでお洒落っ気ゼロの私。白いジップアップパーカーの上に羽織ってきたのはスタジャンだし(温かいのよ!)、今やパーカーの袖もまくってしまっていて、長い髪は頭の上でお団子にまとめているし、化粧をほとんどしていない顔では同じ年には見えないだろうと思う。



