「うーん、でも好きな男がいたら・・・あんなことしないか」
無言。
もしかしてあのキスのこと。ダメダメ、ただ耐えるのよ!
駅についてドアが開く。私は昇降する通勤客を避けながら、目を外へむけていた。ドアが閉まってまた電車が動き出す。
「だって嫌がらなかったよな?それは俺、思い込みじゃないと思う。ちゃんと反応返してたし」
無言。
くっそう、誰でもいいから平野を黙らせて~!早く早く次の駅!さっさと次の駅についてくれ~!
「と、いうことは、今は多分、藤は好きな奴はいないと思う」
無言。
ああ~、平野の口にコンクリートの塊を突っ込んでおきたい。
「それにしても、あの時の藤の表情は・・・」
限界。
ぐるっと急に振り向いて、私は無言のままでヤツのお腹に拳を突き込んだ。
「ぐっ!」
平野ががくっと体を折る。だけど周囲の目を気にしてか、すぐに体勢を直してにやっと笑った。
「・・・藤って結構暴力的なんだな。効いたぞ、今の」
口を開いたら罵詈雑言が大絶叫で飛び出して来そうだったから、私はただギラギラと目を怒らせてヤツを睨みつけていた。



