恐らく人生で最大の、恋愛トラブルに入り込んでしまったのだろう。

 実際はトラブルというほどのものではないかもしれない。だけれども私はそう自分で決定して、それから思う存分ぎゃあぎゃあと叫んでパニックに陥った。

 忘年会から帰った日は―――――駅の構内で平野から逃げ帰った日は――――――シャワーだけを浴びて缶ビールを2つ立ったままで飲み干し、速攻で眠りについたのだ。

 もうアルコールの力を借りなきゃ眠れないだろうって思ったから。

 それは正解だったけれど、アルコールのせいで浅い眠りになってしまい、ガッツリと悪夢を見た。高峰リーダーと平野がそれぞれ花束を持って私を追いかけてくる夢だ。彼らは悪魔の化粧をした仮面を被っていて、それは口が耳元まで裂けているし、彼らが持っている花束の花ビラは血が塗られていた。それが滴り落ちて道へとへばりついている。恐怖に悲鳴を上げて逃げる私を追いかけながら、彼らはケラケラと笑っているのだ。

 どうしたんだ、藤ー、そう呼びながら。

 逃げないでくれよ折角追いかけてるんだから、そう笑いながら。

 ガバッと勢いよく起きた私は汗だくで、眠っていたのにハアハアと肩で息をついていた。

 酔っ払った高峰リーダーの独白と、知ってしまった6年前の平野の気持ち。それからヤツは、今の私には興味があるって意味のことを言ったのだった。

 でも・・・・。

「そう、でも、なのよ!」

 私は一人でそう言いながら朝食に作ったハムエッグをフォークで力いっぱい突き刺した。

 どっちにも、告白などをされたわけではありません、っと。