週末は、ほかのスタッフの結婚式の手伝いをしていたかすみ。規模も大きく、スタッフ全員があくせくと働いていた。

結婚式、披露宴、終わったのは、午後8時。それから披露宴会場の片付け。全てが終わったのはもう10時になろうという時間だった。

それぞれが足早に帰って行く。自家用車、電車、バス、タクシー。

かすみも帰ろうと、カバンを持ち、外に出た。

「…同じ方向の人がいないってどうなの?」

外は、当たり前だが真っ暗で、時間も遅く人気はほぼない。ちょっと怖いな、なんて思いながら、駅に向かって歩き出す。

その時丁度、薫からのLINE。

『もう、家かな?』
『今、終わったんです。帰ろうかと、駅に向かって歩いてます』

その答えに直ぐ電話がかかる。

「もしもし?」
『まだ、仕事場?』

「…出たところなんで」
『迎えに行くから、そこで待ってて』

「え、でも」
『いいから、動かないで』

そう言うと、電話は切れてしまって、かすみは仕事場の外で待つ事に。

「…あれ?また、いたの?」
「…ぁ、専務、お疲れ様です。迎えが来るので待ってるんです」

「…彼氏?」
「…はい」

岳の言葉に恥ずかしそうに頷いた。