…車は小さなレストランの駐車場に止まった。

車を降りてからも、繋がれた手は離されず、席についてようやくその手は離された。

食事を楽しみながら、これまでの2人のことを話した。どんなに話しても足りないほど。

車の中に戻って、再び繋がれた手を見つめ、互いに思う。

もう少し一緒にいたい…と。

「…俺の家に来ますか?」
「…でも」

「もう少しだけ、一緒にいたい…ダメですか?」
「…私も、もう少しだけ一緒にいたいです」

素直にそう言えば、薫はニコリと笑い頷いた。

付き合い始めてすぐ、家に行くのもどうかと思いながら、薫の家に向かった。

薫の家は、フラワーガーデンの二階。一階は店舗に改装して、二階を居住スペースにリフォームした。

…部屋の中はシックな色で統一され、たくさんの観葉植物があちこちに置かれている。

「…西園さんらしいお部屋ですね」
「…薫でいいですよ。というか、薫って呼んて欲しいです。上の名前だと、なんだかよそよそしいから」

「…えっと…じゃあ…薫」

恥ずかしくて、照れ笑いしながら言えば、薫はとても嬉しそうな顔をした。

「…いいですね。好きな人に名前で呼んでもらうのって…」