「…チーフこそ、なんでチャペルなんかにいるんですか?」

職場の人間が、休みだというのに、2人もいるとは。

「…ちょっと、懺悔をしに」
「…は?…懺悔…ですか?」

悠人の言葉に、理解不能と言った顔のかすみ。

「……そっちは?こんなところに何をしに来た?」

「…自分の想いを、神様に捧げに来ました」

「…は?なんだよそれ」

悠人は、思わず眉間にしわを寄せた。

かすみはかまわず、悠人の横に通り過ぎると、一番前の椅子に腰掛け、祈りを捧げた。

「…いつからキリスト教になった?」
「…つい今さっき」

「…何があった?」
「…プライベートな事なので、お答えしかねます」

「…俺言ったよな?かすみが好きだって」

「それとこれとは」「…来い」

少し苛立った顔で、悠人はかすみの腕を強く掴むと、チャペルを出た。

チャペルの横にある庭園のベンチに来た悠人は、かすみを座らせる。

「…一からちゃんと説明しろ」
「…ですから、プライベートな事は、お答えしかねます」

「ふざけんな。中途半端が一番嫌いだ」
「嫌いで結構です。失礼します」

「…頼む。…何があった?…そんな泣きそうな顔してないで、話してくれ。そんな顔にさせたのは、西園か?」