黄昏時の窓辺。
そこに彼女は居た。

人々が行き交う大通りからちょうど小道に入る角の建物。古びたレンガ造りのそれの、2階の開け放した窓から、彼女は大通りを足早に行き交う人々をまるで天上から見下ろす神の如く、見下ろしていた。

神とは大袈裟かと思うかもしれないが、私はそれを間違っているとは思わない。

何故か。

それは彼女が女神の様に美しかったからだ。

銀色の髪に真紅の瞳。まるで人形の様に整った顔立ち。黄金比率に限りなく近いと思われるそれは、先述した通り、女神に等しいものだった。

そんな彼女の瞳は、人々を見下ろしてはいるものの、何故か微動だにしなくただ一点を見つめていた。