「…っ」

「咲が本田君のこと好きなの知ってて抱き合ったのー?」

「違う。」

そんなわけあるわけない。
「咲がとんだけ好きだったか知ってる。だからそん」
 
大野さんは、私の話を遮って「知っててやったんだよねー。最低。」

本当のことを知らないくせに皆口々に最低という。

さっき出て行った咲ちゃんが、ドアの所にいた。


「咲ちゃんっ。」

「最低。」
ガン---


頭を土器で殴られたように痛い。どんな言葉より咲ちゃんに言われたサイテイが心に突き刺さった。