ふたりの日常。~冬の夜~

啓介はやっぱり優しい。今のは、わたしのことを気遣ってくれたんだと思う。
今度休みの日に、ゆっくりデートしよう。
そんなことを思って見送ろうとしたら、啓介はまだ目の前に立っている。

「どうしたの?」
不思議に思って声をかけると、頭をかいて、そして笑った。

「あのビーフシチューを明日香が一生懸命作ったと思ったら、なんかいいなあと思ってさ」

これは。
『啓介のたまにしか見せない本気の笑顔』だ!
思わずドギマギして、わたしの脈が少し早くなっていた。

去っていく背中を、そっと見つめる。


今度また、ビーフシチューを作る機会があったら。
わたしは、啓介のあの笑顔をまた見るため、飴色玉ねぎを増量しようと心に決めたのでした。


終わり。