「……あいつは、伊万里は10歳の頃に両親を亡くし、親戚中をたらい回しにされたんだ。見かねた父方の妹さんが引き取って育ててくれたんだ。おじさんの妹さんはまだ20代でーー恋人だっているのに子供の伊万里の面倒を見てくれているんだ。伊万里はそんな妹さんのお荷物になるのは嫌だからって寮があるこの学園に入ったんだ。妹さんに迷惑にならないよう生きていこうってーー。そんな状況だから伊万里は頑張りすぎるクセがある。お前は完璧だ。悔しいが認めてやる。だけどな、そのお前が傍に居ると、お前に相応しくなろうと伊万里は頑張るに違いないんだ。だから……」


『そっとしておいてやれ』

 彼はそう言いたいのだろう。

 だが、それは彼女が決めるべきことであって、他人が口出しするようなことでもない。