それなのに、わたしは今、こうして何をしても完璧な学園の王子様と一緒にいるなんてーー。

 なんだか夢みたいな現実だ。

「生徒会の仕事が(はかど)らない時にね、こうやっていつも食堂の方々にはお世話になっているんだよ」

 なかば心ここにあらずといった調子でぼんやり話を聞いている。

 王子様にこんな態度は失礼だとは思う。

 だけどやっぱりわたしは場違いでーー。

 だからこうなってしまうのは仕方がないことなんだ。

 そんなわたしに、志月さんは怒ることもしない。
 それどころかいっそうにっこり微笑むばかりだ。

「はい、どうぞ」

 そして彼はサランラップに包まれている手のひらよりも少し大きめサイズのおにぎりを差し出した。