双葉の視線の先には、やはり七瀬さんの姿があった。
肩まであるゆるやかに波打つ髪を春の気まぐれな風に遊ばれ、揺れている。
「…………」
「ははっ、可愛い。またコケてる」
彼女は双葉の言うとおり、ホウキに足を引っかけ転んでいた。
「小動物のーーさしずめチワワってとこかな。ああいう子って守ってあげたくなるよね。碧くん?」
「…………」
危なっかしくて彼女から目が離せない。
「まあ、気をつけて。意外とライバルは多いかもしれない」
双葉はそう言うと、生徒会室を去っていった。
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