「あんな可愛い子がさ、どうしてフリーなんだろうね」


「…………」

 いったい双葉は何が言いたいのだろうか。
 こいつはいつもそうだ。
 肝心なことを率直に言わず、回りくどい言葉で話す。
 まるでこちらを試すように……。
 それがまた人の神経を逆撫(さかな)ですることを当の本人は知っているのだろうか。


「そこで僕からのアドバイスだ!! 彼女には気をつけた方が良いよ。傍には奴がいるからね」

 双葉は人差し指を前に突き出すと、ふふんと鼻を鳴らして楽しげにそう言った。