いくら双葉に突き飛ばされたからといって、体勢を崩した彼女を受け止めてやれなかったのは俺の日頃の鍛錬不足だろう。
双葉からの背後の殺気にも気づけなかった俺も悪い。
しかし、それはそれ。
これはこれだ。
あの場で倒れてしまったのはやはりこの男の仕業なのだ。
「まあ、彼女を怪我させなかったのは流石だとは思うがね?」
偉そうによくもいけしゃあしゃあと言えたものだ。
横目でじっとりと睨んでやれば、双葉は大袈裟に両手を上げた。
「恐い恐い」
「ーーーー」
そうやってこいつはいつも俺を茶化す。
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