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「聞いたよ? 今日、とうとう押し倒されたんだって?」


 5階の生徒会室。
 数十人はいた室内に残っているのは俺ひとり。

 あと数ヶ月と間近に迫った学園祭の内容を決めるべく、各学級との会議も終え、書類を片付けていると、ひとりきりだったはずのここに奴が現れた。


 彼の名は双葉 孝雄(ふたば たかお)

 俺とは同級生で風紀委員会会長を務めている男だ。


 金髪は地毛なのか、染めているのかはわからないが、目鼻立ちがはっきりしている彼の容姿は異国人のようだ。