今夜、君にラブロマンスをささげよう。


「言伝?」


 なんだろう。

 俺がこの世界でするべきことは、広い世界を見るという、勉学のただそれだけではないのか。


「王子、大変なのでしゅ! まだ断言できないのでしゅが、美乃姫がやって来るかもしれないでしゅ!!」

「美乃が?」

 彼女は俺の幼なじみで、父上が決めた俺の許嫁(いいなづけ)だ。


 この世界にやって来るのは妖精国の王族の男子が様々な文学を知るために与えられた使命だ。

 従って、祖母以外に女性がこの世界にやって来るなんて前代未聞だ。