「……そうなのでしゅか。楓(かえで)様ならやりかねないでしゅね。だって、美乃(よしの)姫のことをあまり好いておられませんでしたから。ボクは美乃姫も素敵だと思うのでしゅが、でも王子には伊万里姫のような方が妃に相応しいと思うでしゅよ」
「それで? ロップは何故この世界にやって来たんだ?」
「ああっ! そうなのでしゅ!! 王子、大変なのでしゅ!!」
何度も頷いていたロップは、ここへ来た目的をようやく思い出したようだ。
大きな声が室内に響いた。
「ボクがここに来た理由でしゅ! この国から来た密猟者が、記憶を消す直前を見計らって妖精国から逃げたのでしゅ!!」
「なんだって?」
「申し訳ございません! 奴らは一時、美乃姫を人質を取っていたのでしゅが、美乃姫がスネを蹴ってなんとか解放されまして、そうしたら逃亡しました。あと姫から言伝がっ!!」



