今夜、君にラブロマンスをささげよう。



「はうっ! あ、あの……えと……放課後、待ってます。おにぎり、頂きますっ!!」

 少し意地悪だったかな。突然の名前呼びに驚いたのか、顔を朱に染める。


 
 パタパタと慌てて去っていく足音が廊下に響く。

 その音が心地好い。

 俺は彼女の足音が消えるまでロップと共に消えゆく軽快な足音を聞いていた。


「伊万里姫はとても可憐(かれん)でお優しい姫君でしゅ」

「そうだね」


 やがて心地好い足音が消え、静寂が宿る。

 誰に言うでもなく、ロップは静かに呟(つぶや)いた。

 その言葉に、俺も頷いた。


「王子は伊万里姫とはどういうご関係なのでしゅか?」

「祖母上の陰謀でね、彼女と付き合うことになってしまったんだ」