「あの、志月(しづき)先輩、じゃあわたしはこれで」 彼女は俺に一礼すると腰を上げた。 残念だな。七瀬さんの俺の呼び方が元に戻ってしまった。 「ああ、戻っちゃうんだ」 「えっ?」 「名前の呼び方。さっき俺のこと、『碧さん』って呼んでくれて嬉しかったから。もう呼んでくれないのかなって」 「えっ? あ、あのっ!!」 俺の問いに、彼女の顔色が変化する。 慌てている姿が可愛らしい。 「フフ、冗談だよ。ごめんね、ロップのこと他言しないでくれてありがとう」