七瀬さんの思いやりのおかげで俺たちの国がこの世界で明るみに出ることを防げた。
礼を言うと、七瀬さんは頬を紅色に染めたあと、すぐに深刻な表情に変わった。
「あの、お尋(たず)ねしてもいいですか?」
「うん?」
「ロップちゃんが、フェアリー王国の王子っておっしゃっていましたが、どういうことですか?」
彼女が尋ねるのももっともだ。
……まあ、今さら隠し立てしても仕方がないか。
妖精を見ても大騒ぎしない彼女はとても冷静だ。
なるほど、ロップには後でどこまで七瀬さんに俺たちのことを説明したのか聞いておく必要があるな。



