わたしはロップちゃんに胸ポケットに入るよう促(うなが)すと、ロップちゃんは大きく頷いてみせた。 「あの、ロップちゃん? わたしの呼び方なんだけど、姫って呼ばなくていいんだよ? 呼び捨てでかまわないし……」 わたしのことを、『姫』呼びされるのは今さらながらに抵抗がある。 ロップちゃんにそう言うと、だけど彼は首を横に振った。 「いいえ、ボクから言わせると、女性はみんな姫様なのでしゅ。だからボクは伊万里姫と呼ばせて頂(いただ)きましゅ」 体はとっても小さいのに、彼はとても紳士(しんし)だ。