今日こそ君と。



その日も、いつも通りヨウと一緒に帰ってた。

小学校六年生という思春期に入りがかる時期ではあったが

俺らの絆はなにも変わらなくて昔みたいに兄弟みたいに

俺はヨウが大好きでヨウも俺を大好きだったんだ。

でも、その好きが友達としてじゃなくて異性として好きだったことはわかってたんだ。


その日は、きれいな夕日で
その暖かいオレンジ色は俺らを包み込んでいて
彼女の頬を紅く柔らかに染めていたんだ

自然とそんな空気にもなってはいた。

けれど、いつのまにか家についていた。


「カナメ、バイバイ」

名残惜しそうにこちらを見ながら手を降る彼女が悲しそうな目をしていたことに俺は気づかなかった。

『バ、バイバイ!!』

俺は、精一杯手を振った。

心臓がバクバクして死にそうだ。

昨日より、緊張した。

翌日、ヨウは遅刻っていってたから俺は先に学校へいった

教室がざわざわしていた

そしたら、同じクラスの女子が泣いていて

その震えた声で喋り始めたんだ


「あ...あのね...。グスッ」

「大丈夫、泣き止んでからでいいよ?」
その周りにいた女子たちは、慰め始めた

そして、泣き止んでからその女子は話始めた。クラス、全員の前で。ただ一人、ヨウを除いては。

「実はね、昨日、親が離婚したの...理由がね...
ヨウちゃんのっ...ヨウちゃんのお母さんがヨウちゃんの、お母さんが!!!!

私のパパを、とったの。ママから、パパを、とったの。だからね、もう、パパはいなくなっちゃっ....グスッ」

そんなわけ、ないだろ??

ヨウの、母ちゃんだろ??

いつも優しくて、無愛想だけど、本当はすごく優しくて、

ヨウの母ちゃんは、そんなことするはずない、絶対に...


「はぁ???まじかよ!!!ヨウの母ちゃんあり得ねえ!!!」

「ひどい!!!」

「ヨウちゃん、前から嫌だったんだよね!!!」

「いっつも、カナメくんばっかり!女の子ともいるけど、男子といた方が愉しそうだし!」

「本庄のお母さんだからしかたねえってこと??」


チッ...

どいつもこいつも、なんでそんなヨウばっかせめてんだよ?

ヨウの母ちゃんがそんなことするとも思わねーけど、ヨウが、そんな風に言われる筋合いもねーだろ??



ガラッッッ__________________

騒がしかった教室のドアが開き、

一人の少女が入ってきた。

それは...

泣いたように、目を赤くしたヨウだった。

けれど、隠すような笑顔で、


「みんな、おはようっっ!!ってあれ??」

ヨウは、その、重い空気と、自分に刺さる視線に違和感を感じていたんだと思う。

明るくしようとしたのか、

「みんなぁ~どうしたの!?こんな暗いかおしtッッッ_____

パチィイィイィィイィイィインっッッッ

冷たく高い音が教室中に響き渡った


「いっ、いた...」

ヨウは、何がなんだか分からないという顔で

夕日に染まって紅くなったわけではなく

叩かれて赤くなった頬を手でおさえていた


「ねえ!!!ヨウちゃんのお母さん、鈴木ちゃんのお父さんとったんでしょ???」

「てめえさー、よく人の親を自分の親がとったのに、そんな呑気に教室入ってこれるよなー???」


クラス中の皆がヨウをせめた


怖い

俺は怖かった


なにもできなかった


ヨウを助けるどころか


「なあ、カナメお前本庄の親と仲良いんだろ?こいつの親、どうなんだよ??」

怖くて仕方がなかった

俺にも

俺にもその、冷えた視線を向けられるのが


「かっ、カナメ!!!」

確かに聞こえたんだ


ヨウの声が


『あぁ、こいつの親、母ちゃん一人で毎晩遅く帰ってくんだよ。夜遊びしてるからじゃね??』




な


なに


をいった???

おれ


なんていったんだ?????



ヨウんちの母ちゃんが帰ってくんのが遅いのは


一人で養ってくのが大変だから


毎日遅くまで働いてたから


だろ????



そのとき、


ヨウの目が潤んだ気がした



俺はヤバイっておもうよりも


罪悪感で押し潰されそうだった



けれど、ヨウは、泣くことはなかった



けれど怒ったわけでもなくて



無表情のまま


歩いて


帰っていった



そのまま



もう



一ヶ月ほどは


学校に来なかった。


鈴木はそのあと、転校していったんだ。