家に帰ると晃喜の機嫌が悪いと
母ちゃんが困っていた

福来から、事情を聞いた母ちゃんが
帰ったばかりの俺に言った


「その子に電話してみなさい!
今日一日、ご飯も食べずに、泣いてたのよ」


いやいや、孫が可愛いのはわかるけど



「パパ 涼ちゃんの番号知ってるの?」

「知らないけど、田島に聞けばわかるだろ」

「じゃあ電話してよ!!」



福来の前に座った



「福来… 涼ちゃんは、ママじゃないんだ
晃喜は、小さいからわからないけど
福来は、わかるだろ?
他人に迷惑かけちゃダメって、ママ言ってただろ?」

「晃喜が可哀想だよ!!」

「ほら!福来ちゃんまで、泣いちゃった!
電話くらいいいじゃない!」

「ダメだ!母ちゃんまで何言ってんだよ!
毎日、電話するわけにはいかねぇだろ?
晃喜に期待させて、どうすんだよ!
福来だって、よくないことだってわかってるんだろ!? 楽しかったけど
涼ちゃんは、ママじゃないんだ」



泣き疲れて眠るまで、ずっと説得した



子供達が眠った後

両親と3人で話した

「光の言うことは、正しい
涼ちゃんって子とは、まだ1度しか会ってない
2人が懐いたからって、甘えちゃいかん!」

「でも… 晃ちゃんが、お腹空かせて
会いたいって、泣くのが可哀想で…」

「迷惑かけて、そのうち、会うのが苦になったって言われたら?そっちの方が、傷つくだろ!」



何だろう…


会社でも、家でも



涼のことばかり





「光にいい人が出来たと思って、舞い上がっちゃって…」

「もう4年だもんな…」




風呂上がりに廊下で立ち聞きした
両親の会話は、聞かなかったことにしよう