田中の肝臓が適合した

血液型や大きさすべてクリアした

元々酒もタバコもしないから
すぐにでも移植が出来る


「田中君の休業中のサポートは、うちの
会社から応援を出させて貰う
休む分の給料など、すべてこちらで負担します
どうか…娘を助けて下さい」

「社長… 俺の方こそ……
今まで、涼さんに酷いことしたんです
弟らしいこと、させて下さい
これで、許される訳ではないでしょうが
俺…涼さんと話がしたいんです」

「田中さん、よろしくお願いします」

社長と朱里が、深く頭を下げた


田中夫妻と田中も、深く頭を下げた


「本当にバカな事をしました
よくよく考えれば、涼ちゃんと朱里君も
和友と一緒に引き取れば良かったんです
なのに… 突き放したりして…
もっと早くに、真相を話していたら
傷も深くならなかったのに…」



叔母さんは、年齢が基準より上な為
追加検査をたくさんした

結果、不適合になった


桐川さんは、結婚する為、田中が不適合の場合に検査をすることになっていた




手術を受け、経過がよければ

昏睡状態も回復し、脳の状態も回復する

医者が、そう言ってくれた




実弟の肝臓を貰い




意識を取り戻すまで、ひとつきかかった

経過がよく、合併症の心配もなく


一般病床に移った





「姉ちゃん、少しでいいから食べよう」





朱里が必死に涼に流動食を進めるが

食べようとしない


大好きなプリンも


無表情で、瞬きする


「姉ちゃん…早く帰ろうよ」


朱里が、泣きそうになる


すると、涼がプリンを手にした

おさじで、たどたどしくすくい


朱里の口に押し込んだ


「おいしい……けど、姉ちゃんの為に買ったのに!!」


「ふふっ」


涼が嬉しそうに、朱里に微笑む


「涼さん!!約束のプリン… あ…
なんだ… プリン食べてたの?」


田中がプリンを買って来た


「ふふっ」

涼が、笑う


「田中さん!ナイス!!
涼ったら、1個しかないのに!
俺に食べさせて!これは、俺が食べる!」

涼から、プリンを奪う

田中は、俺と自分の分も買っていた


「皆で食べた方がおいしいでしょ!」


なぜか、プリンで乾杯して


なんと!涼は、自分で食べた




「ふふっ おいし… ありがと」



そして、朱里の為に買っていたプリンまで


「デブになるぞ!?」

朱里が止めたけど、ニコニコしながら

ペロリと食べた

「おいしかった?」

「うん!おいし!」


俺の問いに、ニッコリ答えてくれた