劇症肝炎


それが、涼の病名と聞かされた

「有瀬君…
涼の事なんだが…」

「僕の気持ちは、変わりません
涼にもう一度、プロポーズします
日記読んで、涼の気持ちがわかりました
僕は、涼を幸せにします!」

「よかった
君になら、嫁に出してもいいかな」

そう言って、笑った社長は…

今にも泣きそうだ


福来が、嫁に行くと考えれば

俺だって、泣きそうだ


そういう父親の心境だと思った


「すぐに移植が必要だが…
戸籍上、田中さん達とは他人…
色々、手続きや検査が必要でね…
もどかしいよ…
はぁ~
いつも明るく笑っていたあの子が
こんなに悩んで、傷ついていたのに
やっと…
もう一度、親子になれたのに…」


社長の心は、複雑なようだ…


それもそのはず…


涼は、昏睡状態で、俺達は部屋の外から

涼の姿を見てるだけ


手を握ってやることも

声を掛けることすらもできない






何日も、目覚める気配のない涼を見続けた

子供達が夏休みになり

仕事も忙しい時期だったが

俺と朱里は、交代で

社長と田中は、毎日


桐川さんと田島夫妻は、お見舞いを控えている



田中は、涼を階段から落とす為に呼び出したが、記者が偶然現れ

涼が階段から落ちた


あれは、事故だった

だけど…


実の姉を殺すところだった


アルコールの入ったチョコレートは

こうして、涼の体を蝕んだのだから



「涼さん…に謝りたい」



自分のしたことを反省し、後悔していた



毎日、涼を見る度に肩を震わせた